シール印刷のホクトエスピーブログ
オンラインショップはこちら後払い可能

シールの粘着力(接着力)について

カテゴリー : 瀧 シールのこと2022年07月14日

<瀧です。

先日とあるお客様から、「上質普通糊とアート普通糊、どちらのシールの方が強い粘着力をもっているの?」という質問をいただきました。

そのお客様は、値段・質感・光沢・その他の様々な理由から、上質からアートへの材質変更を考えているが、粘着が弱くなってしまっては困るというものでした。

まず前提として、この二つのシールは両方とも同じメーカーの普通糊(アクリル系エマルジョンタイプの粘着剤)を使用しております。

その為このご質問には、「両方とも同じ粘着力です」という答えが正解になりますが、同じ粘着剤を使用していても粘着力が異なる場合があります。

それを「シールの粘着力(接着力)の測定値」からご説明していこうと思います。

 

シール材質の製品仕様書には、粘着力(接着力)という数値が記載されております。

これは、被着体にシールを貼り付け、180゜に折り返すかまたは直角にはがして、どれくらいの力に耐えられるかをテストしたもので、数値が大きいほど粘着力が強いことを示します。
(貼付面の材質、剥がす速度、温度、など条件によってかなり数値は変わります。 )

 

例えば、「上質<55>普通粘着」の仕様書には、17.64 N/25mmという数値が記載されています。

N/25mmという粘着力の単位の基準は
N(ニュートン) = 重量(kg) × 9.8(重力加速度)
25mm:テープ幅です。

簡単に説明すると下の図の様に、25mm×100mmのテープをステンレス版に貼り付けた後に180度方向へ引き剝がしたときの強度です。

 

質問をされた「上質普通糊」と「アート普通糊」の粘着力を調べてみると、共に17.64 N/25mmという数値が記載されておりました。

この一致している数値からも、この二つの材質は同じ粘着力を持っていることが分かります。

一方で、紙素材ではないフィルム素材の「ユポ80普通粘着」の粘着力を調べてみた所、9.80N/25mmという低い数値が記載されていました。

「上質普通糊・アート普通糊」と「ユポ普通糊」とでは、同じ測定方法・粘着剤を使用しているのに、粘着力に差が出ているということです。

これは、材質の違いによるもので、その差は7.84N/25mm、大体800gの重さを持つ位の力の差があります。

同じ粘着剤を使用していれば同じ粘着力を持っていると考えるのが普通ですが、材質によって粘着力が変わる場合もあることが分かりました。

 

このように、粘着力の測定値を比較することで、粘着力に差があるのか、または同じなのかを調べることができます。

ただし、粘着力を比べる時には、測定方法や測定条件が同じであることが必須です。

もしご自身でシールの粘着力を調べて比べる場合は、測定方法や測定条件、さらに単位等もよくチェックする必要があることにご注意ください。